かつての教え子に、特別支援学級の男児A君がいた。小3でも、取り組める学習内容は小1の初期、もしくは年長児程度。それでも、以前は、プリントに字を書くことさえ嫌がっていた。小2の時は、絵を描くことはしても、字を書くことはしなかった。小3でやっと、字を書くことを嫌がらなくなった。小3になり、親学級とか協力学級と呼ばれるクラス(特別支援学級でない)で、理科の授業を受けることとなった。そこでは、A君は何もしないという。うるさくして、授業妨害をするようなことはないが、板書を写したり、教科書を読んだりしないという。つまり、まるでやる気がない。理科担当の先生から、もう少し授業に参加できないものかと、相談された。
私は「小1のレベルだと思ってください。」と言うと、
理科教師「小1だってもっと、何かしらしますよ。何もしないというのは、どういう子なんでしょう。」
私は、「それなら、年長さんと思ってもらっても・・・」
A 君のこれまでを知らない先生が理科の授業だけでて、判断するのは見誤ることがあると思っている。
さらに、「あれじゃあ、将来何の仕事にも就けないんじゃないの?」と言ってきた。・・・・この言葉は聞きたくなかった。まだ、9歳なのに、将来のことなど誰にもわかるわけないのに・・・。本人が聞かなくて良かった、と胸をなでおろした。
子どもは、先生の授業をスムーズにさせるために勉強しているのではない。A 君が、授業を聞かないのは、何を言っているのかわからないとか、つまらないからだと思う。その証拠に私の授業は嬉々として学習している。彼の能力、興味関心を考えて教材を選ぶからだ。特別支援学級では、彼の能力を伸ばす工夫を毎日考えている。
教師の連携はとても大事だ。言うまでもない。しかし、教育に対する思いや、人間観は違ってくるし、そのことについて話し合う時間は取れない。集団の中であっても、一人一人の個性・能力に合った言葉かけをこころがけ、比較をしないという事は教師は心得ていてほしい。
学習は、子どもだけではなく大人も、楽しい方がいいし、楽しいとよく覚え、やる気になる。授業をする教師は、子どもたちが興味を持つように誘導し、面白さを授業の中に組み込むのがいい。
教師や親がやってはいけないこと・・・・その子のやる気をうばう事。その子どもの伸びる芽を摘んでしまうことは決してやってはならないと思っている。
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