心をつなぐ言葉

スペイン語

私は、日本語指導員として、外国籍の児童生徒に日本語を教えている。その中で、不登校気味の生徒の授業をしたときのこと。ひと通り、授業が終わって、雑談タイムに「私は本を読みます。」て、フィリピンのビサヤ語で何て言うの?と尋ねた。私は、スペイン語専門で、タガログ語やビサヤ語は知らない。でも、彼女が答えてくれたビサヤ語の「私は本を読みます。」の中に、スペイン語と同じ発音があることに気づいた。「本をもう一度言ってみて」と言うと『libro』と聞こえる。これはスペイン語だ!私と彼女の共通点を見つけた瞬間だった。

他にも名詞の中にはスペイン語と共通のものがあることを知った。不登校児だけれど、私の授業のある日は、学校に来ることが割合多い。彼女との共通点を見出せたことは、教師にとってもうれしいことだ。

フィリピンは、現在独立国であるが、第二次世界大戦以前は、アメリカの植民地であった。また、1565~1898年はスペインの植民地であった。フィリピンの人たちにとっては、つらい歴史かもしれないが、使える言語が増えたことには間違いない。

 そして、今、その歴史のお陰で、生徒と教師の関係性が深まったと言え、心をつなぐ言葉を持てたわけである。

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