クライアントさんのライフコーチをしていた時のこと。その方は、結婚してから、ご主人の理解があり、実家の両親と2世帯住宅を建てて一緒に住んでいた。実の両親との日々は世間一般のものとはかけ離れていた。実のお母様から毎日毎日嫌味を言われ、仕事をしてつかれているのに手伝ってもらうことはなかった。挙句の果てに、母親の顔を見ることができないほど、精神も病んでしまった。そんな時、義母が病気になり、義母を引き取るために、両親と一緒の生活ではなく、別の家に引っ越すこととなった。精神的に参っていたクライアントは、色々なことが重なって引越しをした、という意識でいたが、当時やっていた仕事の責任の重さから考えると、退職する決心は大きなもので、勇気の要るものだった。
でも、人間の命がかかっている、となれば仕事を辞める他の選択肢は当時なかったという。
実は、義母の病気の世話をする大義名分であるが、実のところ精神を病んでいた彼女には、両親との別暮らしと退職が、心身ともに健康を取り戻す、一番の近道であった。
ここで、出来事を紐解いてみると、義母の病気は、クライアントにとって、世話をするという点では大変なことではあるが、実母と一緒に住まなくていい、という点からすると、天国のようなものだった。義母は迷惑をかけるのではなく、幸せを運んできてくれたという事である。その後、2~3年で、義母は他界されたが、今でも実母と別暮らしであるというのは、ありがたいことであるという。
クライアントさんの義母は、クライアントの生活パターンをガラリと変えた。そして、幸せにしたし、今もなお幸せが続いている。つまり・・・・・
この方は他界されてからも、お嫁さんを幸せにしているという事である。
クライアントさんは、今まで現実に対するこのような見方をしてこなかったという。ただ、ただ、大変なことだったという。でも、義母の病気がきっかけで、実母から離れることができた。つまり、幸せな状態になった。
人は死んでからも、人を幸せにしている、という事である。